欧文のジャスティファイと和文のレフトフラッシュ

従来、欧文のボディコピーの文字組みは基本的には、レフトフラッシュ(アタマ揃え)でした。一昔前なら、欧文をジャスティファイで組もうものなら、欧米人からは日本人のデザイナーの仕事だと指摘されていたものです。ただ、ジャスティファィで組まれた英文が全くなかったわけではなく、テクノロジー系のブローシャーや広告などでは、意図的にジャスティファイで組まれた欧文もあるにはありました。
とは言え、やはり欧文のボディコピーはレフトフラッシュが一般的です。

欧文をレフトフラッシュで組む場合、右側の行末のラインのバランスの美しさが問われます。大部分は、自動的に組み上がってしまいますが、バランスを欠いた個所はリターンキーでパワーブレイクをしてかたちを整えます。クオリティの高い欧文の書籍はこの行末のラインが美しかったように思います。

しかし、最近では欧文の会社案内や書籍などで、以前ならレフトフラッシュで組まれるような文章が、ジャスティファイで組まれているのを多く目にするようになりました。
知り合いのアメリカ人のコピーライターによると、最近どうもこの行末のラインに関してとやかく言われるのがいやでジャスティファイにしているケースもあるようです。また、パワーブレイクをした場合、後に文字情報だけを抽出して流用するような時にその単語の位置が行末でなくなってもハイフンが残ってしまうという欠点もあるため、このような傾向になったのかもしれません。
ただ、コラム幅を充分にとって、ワード間にバラつきのない文字組みであれば欧文のジャスティファィも美しいと思います。

一方で、ブローシャーやパンフレット等で、和文の横組みのボディコピーが、レフトフラッシュに組まれたものを時々見かけるようになりました。詩や俳句などの場合はレフトフラッシュですし、タイトルやリードコピー、意図を持って組まれた広告などの文章表現などでは効果的な場合もありますが、ブローシャーやパンフレットの本文がレフトフラッシュというのは、とても奇異に感じます。(注: Website上の文字組みでは意図せずそうなってしまうこともあります。)

レイアウトされた文章をチェックするときに、文章のキリのいいところで改行するように指示されることがありますが、ジャスティファィだとすべての行がキリのいいところで改行されるわけではありません。和文横組みボディコピーのレフトフラッシュはこういったチェックをあらかじめ回避するために考えられた苦肉の策ではないかと思います。
基本的に日本語は、読者の視野の範囲に収まるコラム幅であれば行末から次の行の行頭へ視点を移動するのは困難なことではではありません。ですから文末がキリのいいところで改行されていなくても抵抗なく読み進められるのです。むしろ全体が一行一行キリのいいところで改行されていたら、文章が流れるようにスムースに入ってこなくなり、かえって読みにくいものです。
もともと海外で制作されたブローシャーなどで、欧文のボディコピーがレフトフラッシュで組まれていたので、和文もそれにならって組んでしまったという例もあるかもしれません。
いずれにしても、和文横組みボディコピーのレフトフラッシュは美しいわけでもなく、読みやすいというわけでもありません。
(2012_feb_t)